寳物殿 御仏と寳物 Sculpture

十一面観音菩薩立像

国宝
平安時代前期

上品で端正な顔立ちには女性的な優しさを感じますが、その体躯はしっかりとして引き締まっています。本尊の本来の脇侍として造られたものと考えられています。
八重蓮華座と呼ばれる像の美しい台座は、後世の補作の部分はあるものの、平安時代前期の様式を良く伝えています。

八重 蓮華座

釈迦如来坐像

国宝
平安時代前期

弥勒堂に客仏として本尊の左方(向かって右)に安置されていた像は、榧の一木造りで、平安時代前期彫刻の白眉として知られています。どっしりと安定した姿に引き締まった穏やかな表情が美しく、渓谷の清流を思わせる翻波式衣紋は明快です。

地蔵菩薩立像

重要文化財
平安時代前期

宇陀川に流れ来た像を村人が救い上げたと伝えられる三本松・安産寺所蔵の地蔵菩薩立像は、金堂本尊に極めて良く似た漣波式の室生寺様です。一方、金堂の地蔵菩薩立像は光背の大きさに比べ像が小さく、両者は一致しません。しかし、この光背を安産寺の像に合わせると違和感なく一致します。このことから、金堂に残された光背は安産寺の像のもので、金堂の脇侍であったと考えられています。
光背には九体の地蔵菩薩坐像や宝相華などが華麗に描かれています。

地蔵菩薩立像 光背

光背には九体の地蔵菩薩坐像や宝相華などが華麗に描かれている。

十二神将立像

重要文化財
鎌倉時代

薬師如来の従者として、昼夜十二時に十二の方位を守るこれらの像は、頭上に十二支の動物を付けています。誇張された自由な姿態の表現は鎌倉時代中期の特色であり、その代表作といえます。
寳物殿には寅神、卯神、辰神、巳神、未神、酉神を安置しています。

  • 辰神

  • 未神

  • 巳神

  • 酉神

  • 卯神

  • 寅神